作文コーチ ナオ国語科教員12年・作文指導

教育×AI活用

AIは、文章を一瞬で書いてくれます。だからこそ、生徒には二つの力を身につけてほしいと考えています。一つは、「AIに任せること」と「自分で考えること」を分けて使う力。もう一つは、「AIの言葉がおかしくないか」を見分ける力です。

このページでは、教室での生徒への指導と、私自身の授業づくりでのAI活用を、作文を中心に紹介します。


生徒に伝えている、AIの使い方

使い方で、差がつく

生徒のAIの使い方を見ていると、大きな差があることに気づきます。

教科書の写真を撮り、「要約文を作って」とだけ頼む使い方があります。一方で、作文が得意な生徒は、作文そのものはAIに書かせません。先に評価の基準を確かめてから、自分で書きます。単純な調べものはAIに任せ、複雑に考える部分は自分で引き受けています。

書ける人がAIを使うと、さらに書けるようになる。だからこそ、AIを使う前に、自分で書く力を育てることが大切だと考えています。 → noteの記事:現役教員が見た、AIを使いこなす生徒と使えない生徒の3つの違い

アイディアはAI。判断は自分。

作文は、生徒がAIを最も使いたくなる場面です。 AIを使うなら、「最初の1文が思いつかないときに、書き始めるためのたたき台」として使うよう指導しています。授業では、次のような線引きを伝えています。

AIに任せてよいこと自分でやること
言葉の意味や、事実の調べもの何を主張するかを決めること
評価の基準や、書き方の型を確かめること自分の経験から根拠を選ぶこと
書いた文章の誤字や表記の確認自分の言葉で文章を組み立てること

丸写しの作文は、なぜわかるのか

それでも、AIが出した文章をそのまま写して提出する生徒がいます。作文を見た瞬間に「これ、丸写しだよね?」と聞くと、「なんでわかるんですか」と驚かれます。

手がかりの一つは、普段使っている言葉との違いです。「わからへん」「めんどい」といった言葉で会話をしている生徒が、作文で急に「優美な情景」のような言葉を使うことは、まずありません。丸写しの作文は、こうした抽象度の高い言葉や、参考書に書いてあるような言葉で固められています。要するに、中学生が書くには完成されすぎているのです。

この違和感に気づけるかどうかは、どれだけ多くの言葉や表現のパターンを知っているかにかかっています。だからこそ、AIの言葉を見分ける力を育てることは、語彙を増やし、表現の引き出しを増やすことと同じだと考えています。

作文以外の場面でも同じです

たとえば、和歌の授業で「万葉集とはどんなものか調べよう」と問えば、AIを使ってもある程度同じような答えが並びます。調べものは、AIに任せてよい作業です。

ところが、「万葉集の中で、どの歌を印象深く感じるか。一つ選んで、どの言葉からそう思ったのか考えよう」と問うと、話が変わります。この問いをAIに任せると、作文のときと同じように、妙に完成されていて、本人が説明できない答えが出てきます。

見分けるポイントは、「この言葉の意味は?」と問い返すことです。自分で考えた答えなら、自分の言葉で説明できます。説明できないところに、AI任せの跡が表れます。


授業づくりでのAI活用

私は、授業の準備や振り返りに、Claude(Anthropic社のAI)などを活用しています。

授業案の作成と点検

AIを使って授業案のたたき台を作り、学習指導要領や、これまでの授業案と照らし合わせて点検しています。

AIが作った案は、そのままでは使いません。たとえば、小説「故郷」の授業案では、AIの案に場面の順序や登場人物の行動の誤りが見つかりました。本文と照らし合わせて確かめ、修正してから授業に使っています。

生徒の振り返りの分析

単元の終わりに集めた生徒の振り返りを、AIで整理しています。俳句の単元では、記述に多く出てきた言葉を集計し、「読めるけれど書けない」という伸びしろを見つけました。その結果を、次の和歌の単元の設計に生かしています。 → 授業実践のページへ

業務改善と、知見の蓄積

授業案や振り返りの分析をAIとともに積み重ね、次の授業にすぐ生かせる形で蓄積しています。準備にかかる時間を減らし、その分を生徒と向き合う時間に回すことを目指しています。


大切にしていること

  • 最後に判断するのは人:AIの出力は、本文や資料と照らし合わせて確かめてから使います。
  • 書く力が先:AIは、自分で考えて書く力を伸ばすための道具として使います。
  • うまくいかなかったことも共有する:AI活用も試行錯誤の途中です。失敗も含めて発信していきます。

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