教育×AI活用
AIは、文章を一瞬で書いてくれます。だからこそ、生徒には二つの力を身につけてほしいと考えています。一つは、「AIに任せること」と「自分で考えること」を分けて使う力。もう一つは、「AIの言葉がおかしくないか」を見分ける力です。
このページでは、教室での生徒への指導と、私自身の授業づくりでのAI活用を、作文を中心に紹介します。
生徒に伝えている、AIの使い方
使い方で、差がつく
生徒のAIの使い方を見ていると、大きな差があることに気づきます。
教科書の写真を撮り、「要約文を作って」とだけ頼む使い方があります。一方で、作文が得意な生徒は、作文そのものはAIに書かせません。先に評価の基準を確かめてから、自分で書きます。単純な調べものはAIに任せ、複雑に考える部分は自分で引き受けています。
書ける人がAIを使うと、さらに書けるようになる。だからこそ、AIを使う前に、自分で書く力を育てることが大切だと考えています。 → noteの記事:現役教員が見た、AIを使いこなす生徒と使えない生徒の3つの違い
アイディアはAI。判断は自分。
作文は、生徒がAIを最も使いたくなる場面です。 AIを使うなら、「最初の1文が思いつかないときに、書き始めるためのたたき台」として使うよう指導しています。授業では、次のような線引きを伝えています。
| AIに任せてよいこと | 自分でやること |
|---|---|
| 言葉の意味や、事実の調べもの | 何を主張するかを決めること |
| 評価の基準や、書き方の型を確かめること | 自分の経験から根拠を選ぶこと |
| 書いた文章の誤字や表記の確認 | 自分の言葉で文章を組み立てること |
丸写しの作文は、なぜわかるのか
それでも、AIが出した文章をそのまま写して提出する生徒がいます。作文を見た瞬間に「これ、丸写しだよね?」と聞くと、「なんでわかるんですか」と驚かれます。
手がかりの一つは、普段使っている言葉との違いです。「わからへん」「めんどい」といった言葉で会話をしている生徒が、作文で急に「優美な情景」のような言葉を使うことは、まずありません。丸写しの作文は、こうした抽象度の高い言葉や、参考書に書いてあるような言葉で固められています。要するに、中学生が書くには完成されすぎているのです。
この違和感に気づけるかどうかは、どれだけ多くの言葉や表現のパターンを知っているかにかかっています。だからこそ、AIの言葉を見分ける力を育てることは、語彙を増やし、表現の引き出しを増やすことと同じだと考えています。
作文以外の場面でも同じです
たとえば、和歌の授業で「万葉集とはどんなものか調べよう」と問えば、AIを使ってもある程度同じような答えが並びます。調べものは、AIに任せてよい作業です。
ところが、「万葉集の中で、どの歌を印象深く感じるか。一つ選んで、どの言葉からそう思ったのか考えよう」と問うと、話が変わります。この問いをAIに任せると、作文のときと同じように、妙に完成されていて、本人が説明できない答えが出てきます。
見分けるポイントは、「この言葉の意味は?」と問い返すことです。自分で考えた答えなら、自分の言葉で説明できます。説明できないところに、AI任せの跡が表れます。
授業づくりでのAI活用
私は、授業の準備や振り返りに、Claude(Anthropic社のAI)などを活用しています。
授業案の作成と点検
AIを使って授業案のたたき台を作り、学習指導要領や、これまでの授業案と照らし合わせて点検しています。
AIが作った案は、そのままでは使いません。たとえば、小説「故郷」の授業案では、AIの案に場面の順序や登場人物の行動の誤りが見つかりました。本文と照らし合わせて確かめ、修正してから授業に使っています。
生徒の振り返りの分析
単元の終わりに集めた生徒の振り返りを、AIで整理しています。俳句の単元では、記述に多く出てきた言葉を集計し、「読めるけれど書けない」という伸びしろを見つけました。その結果を、次の和歌の単元の設計に生かしています。 → 授業実践のページへ
業務改善と、知見の蓄積
授業案や振り返りの分析をAIとともに積み重ね、次の授業にすぐ生かせる形で蓄積しています。準備にかかる時間を減らし、その分を生徒と向き合う時間に回すことを目指しています。
大切にしていること
- 最後に判断するのは人:AIの出力は、本文や資料と照らし合わせて確かめてから使います。
- 書く力が先:AIは、自分で考えて書く力を伸ばすための道具として使います。
- うまくいかなかったことも共有する:AI活用も試行錯誤の途中です。失敗も含めて発信していきます。
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